大判例

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大阪地方裁判所 昭和61年(ワ)1706号 判決

原告

株式会社三雄

右代表者代表取締役

井上武雄

右訴訟代理人弁護士

岩田喜好

右輔佐人弁理士

谷昇

被告

日本捻廻株式会社

右代表者代表取締役

田口輝雄

被告

株式会社ベツセル

右代表者代表取締役

田口輝雄

被告

株式会社ベツセル福知山

右代表者代表取締役

田口輝雄

右三名訴訟代理人弁護士

村林隆一

今中利昭

吉村洋

釜田佳孝

浦田和栄

谷口達吉

松本司

村上和史

右輔佐人弁理士

安田敏雄

中野収二

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、別紙イ号品目録記載のドライバーを製造し、譲渡し、譲渡のために展示してはならない。

2  被告らは、前項記載の完成品、半完成品を廃棄せよ。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、次の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その意匠を「本件意匠」という)を有している。

出願 昭和五七年二月五日

登録 昭和五九年七月一七日

登録番号 第六三五四六六号

意匠に係る物品 ドライバー

登録意匠 別紙本件意匠図記載のとおり

2  本件意匠の構成及びその要部

(一) 本件意匠の構成

(1) 概括的態様

a 先端に刃先8を有する軸7と

b 軸7の手元側(図において右側)にグリップ1を装着し

c ほぼ球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状の胴部5と、軸7を被覆するテーパチューブ状の絶縁部6とからなるグリップ1と

d 頭部3に、その表面と面一に連続して鉢巻状に装着されているバンド2

とからなるドライバー

(2) 具体的態様

a 軸7の直径一に対し、

バンド2の幅が五・三の比で、

頭部3の球状直径が六・六の比で、

首部4の直径が三・六の比で、

胴部5の直径が、上部最大径部で四・五、下部最小径部で二・六の比で、

絶縁部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・三の比で、長さが四・七五の比であり

b バンド2の表面には、周方向に等間隔をおいて六個の軸方向に長い細楕円形の膨隆部2aを突設し、膨隆部2aを除き両側縁を残して周方向に帯状の梨地模様2bと

c 胴部5の略中間に位置して二条の溝5aと

d 刃先8の断面形状がプラス記号状とからなるもので、色彩の限定はない。

(二) 公知意匠

本件意匠の出願日である昭和五七年(一九八二年)二月五日以前の公知意匠としては、「全日本機械工具標準型録」(全日本機械工具商連合会発行一九七五年版)の四〇〇頁D第一四七図に掲載されている電工用ドライバーのものがある。

右公知意匠は、別紙公知意匠図記載のとおりであり、その構成は次のとおりである。

(1) 概括的態様

a 先端に刃先8を有する軸7と

b 軸7の手元側にグリップ1を装着し

c 略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状の胴部5と、胴部5の下部最小径部を被覆する円筒状の鍔部6とからなるグリップ1と

d 頭部3には、鉢巻状に凹設されている三本の溝2

とからなる電工用ドライバー

(2) 具体的態様

a 軸7の直径一に対し、

頭部3の最大径部の直径が六・六の比で、

首部4の直径が三・六の比で、

胴部5の直径が、上部最大径部で四・五、下部最小径部で二・七の比で、

鍔部6の直径が一・八、長さが二・二の比であり、

b 刃先8の断面形状がマイナス記号状のもの

(三) 先願意匠

本件意匠の出願日である昭和五七年二月五日以前の昭和五五年一一月二五日に出願され、本件意匠の出願日後である昭和五七年九月三〇日に登録され、昭和五八年一月一二日発行の意匠公報に掲載された第五九一〇五六号のいわゆる先願意匠がある。

右先願意匠は、本件意匠の出願前には公知になつていなかつたから、本件意匠の新規性、創造性の要部を認定するためには考慮の必要はないともいえるが、その点はさておき、その意匠は、別紙先願意匠図記載のとおりであり、その構成は次のとおりである。

a 先端に刃先8を有する軸7と

b 軸7の手元側にグリップ1を装着し

c 略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状の胴部5と、胴部5の下部最小径部を被覆する円筒状の鍔部6とからなるグリップ1と

d 頭部3に周方向に等間隔で並列に鉢巻状に配置されている軸方向に細長い矩形状の二四個の膨隆部2a

とからなるドライバー

(四) 本件意匠の要部(公知意匠、先願意匠との対比)

(1) 本件意匠に係る物品はドライバーであるが、その基本的構造は、先端に断面形状がマイナス記号状又はプラス記号状の刃先を有する軸と、軸の他端に装着されたグリップ(柄)とからなる。

(2) 本件意匠の構成と公知意匠、先願意匠の構成とを比較すると次のとおりである。

a 本件意匠の概括的態様a、bは、公知意匠、先願意匠の概括的態様a、bと共通している。

b 本件意匠の概括的態様c、dのうち、グリップ1、頭部3、首部4、胴部5の形状が、公知意匠、先願意匠の概括的態様c、dのうち、グリップ1、頭部3、首部4、胴部5の形状と共通しているが、本件意匠は鉢巻状にバンド2が装着されているのに対し、公知意匠には三本の溝2が凹設されている点に差異があり、また先願意匠のグリップの膨隆部2aは頭部3、首部4、胴部5と同一部材をもつて一体として形成されている点に差異がある。

c 本件意匠の絶縁部6は、テーパチューブ状でその直径が前記の比率で上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・三、長さが四・七五の比であるのに対し、公知意匠、先願意匠の鍔部6は、円筒状でその直径が前記の比率で一・八、長さが二・二の比であつて、この点にも差異がある。

したがつて、本件意匠の要部は、右差異点であるところの、鉢巻状に装着されているバンド2と、絶縁部6の形状が細長いテーパチューブ状である点にある。

(3) 本件意匠の絶縁部6は前記(1)のドライバーに必須の構成ではなく、本件意匠の出願前に公知のドライバー及び先願意匠には、絶縁部6は具備されていない。そして、公知意匠においては、軸7から鍔部6へと連続するところで急に鍔部6が軸7よりも太くなつていて、鍔部6のところでいわゆるゴツゴツした感があらわれているのに対し、本件意匠の絶縁部6は、テーパ状になつていて、最も細いところが軸7の太さと近似し、胴部5へ連続する方向へ次第に太くなつており、全体として刃先8から頭部3まで滑らかに流線形状ないしテーパ状を形成し、いわゆるスマートなすつきりした美感がある。このように、絶縁部6の形状は、新規な美感を具えたものであり、しかも、ドライバーの全長の略中央部に位置し、その長さの軸7の直径に対する比率が四・七五であるので、購買者の注意を惹くものである。

したがつて、本件意匠の絶縁部6は本件意匠の要部である。

(4) 本件意匠のバンド2は、ドライバーの基本的構造を構成する一つである柄(グリップ1に相当)の部分に工夫を加えて購買者の購買意欲に刺激を与え、商品としての販売競争力の強化を図るために付加した美的創作の産物であり、本件意匠の要部である。本件意匠の出願前に公知のドライバーでは、本件意匠と共通の、球状の頭部3と首部4と胴部5と軸7の各形状及び各部の連設する全体としての位置、形状を具備しているもので、球状の頭部3にバンド2を装着したものは見当らない。先願意匠には本件意匠のバンド2に相当するものがあるかのように見受けられるが、断面図が示されていないから、配列されている二四個の膨隆部2aは、頭部3と首部4と胴部5と一体として形成された同一部材であつて、別異の部材が装着されたものではないと解されるのであつて、本件意匠とは異なるものである。

3  被告らは、別紙イ号品目録記載のドライバー(以下「イ号品」といい、その意匠を「イ号意匠」という)を、昭和五九年一一月以降業として製造、販売している。

4  イ号意匠の構成

(一)概括的態様

a 先端に刃先8を有する軸7と

b 軸7の手元側(図において右側)にグリップ1を装着し

c ほぼ球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、軸7を被覆するテーパチューブ状の絶縁部6とからなるグリップ1と

d 頭部3に、表面と面一に連続することなく段状に隆起して鉢巻状に装着されている第一バンド2と

e 胴部5に、表面と面一に連続することなく段状に隆起して鉢巻状に装着されている第二バンド9とからなる形状を有するドライバー

(二) 具体的態様

a 軸7の直径一に対し、

第一バンド2の幅が三・七、隆起の高さが〇・三の比で、

頭部3の最大径部の直径が六・九の比で、

首部4の直径が三・四の比で、

胴部5の直径が、最大径部(第二バンドの最大径部)で四・〇、下部最小径部で二・〇の比であり、絶縁部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・四の比であり

b 第一バンド2の表面には、両側縁に細溝を介して縁取部2cを形成し、両縁取部2c、2cの二箇所にて直交する直線状の連結部2d、2dと、二箇所にて真円形の皿状凹部2e、2eが形成され、縁取部2c、連結部2d、凹部2eを除く部分に斜交する比較的粗い格子溝2fが形成され、これにより多数の菱形模様2gが形成され

c 第二バンドの9の表面には、第一バンド2の表面の模様と類似する縁取部9c、9cと連結部9d、9dと第一バンドより細かい格子溝9fと小さな多数の菱形模様9gが形成され

d 刃先の断面形状がプラス記号状(マイナス記号状)

とからなるもの

5  本件意匠とイ号意匠との対比

(一) 概括的態様について

a イ号意匠の概括的態様a、b、cは、それぞれ本件意匠の概括的態様a、b、cと同一である。

b イ号意匠の概括的態様dは、第一バンド2が頭部3の表面と面一に連結することなく段状に隆起しているのに対し、本件意匠のバンド2が頭部3の表面と面一に連続している点で差異があるほかは同一である。

c イ号意匠の概括的態様eは、第二バンド9があるのに対し、本件意匠にはそれがない点で差異がある。

(二) 具体的態様について

a イ号意匠の具体的態様aと本件意匠の具体的態様aを比較すると、軸7の直径一に対する各部の比率が、バンド2の幅につき前者が三・七に対し後者が五・三、同様に頭部3の直径が六・九に対し六・六、首部4の直径が三・四に対し三・六、胴部5の直径が最大四・〇に対し四・五、最小二・〇に対し二・六である点に差異がある。

b イ号意匠の具体的態様b、cは、本件意匠の具体的態様b、cと相違している。

c イ号意匠の具体的態様dは、本件意匠の具体的態様dと同一である。

(三) イ号意匠と本件意匠とは右のとおり差異点もあるが、共通している点があり、それらの共通点が前述の本件意匠の要部に該当しているので、イ号意匠は本件意匠に類似しているものというべきである。

具体的態様についての差異点は、本件意匠の要部に該当せず、部分的で微小なものにすぎないのに対し、イ号意匠と本件意匠が共通するグリップ1の頭部3に装着したバンド2及び絶縁部6は、その大きさや長さからいつても需要者たる電気工事人の眼を惹きつける美感を形成している。イ号意匠の第一バンド2の隆起は、前記の比率で〇・三であり、頭部3の直径一に対しては〇・〇四(0.3÷6.9=0.04)にすぎず微小なもので、右類似の判断を否定するほどものではない。

6  よつて、原告は被告らに対し、本件意匠権に基づき、イ号品の製造、譲渡のための展示の差止並びにイ号品の完成品及び半完成品の廃棄を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2(一)  同2(一)については、本件意匠が原告主張のような態様を含んでいることは認めるが、本件意匠の特徴はそのような点に存在するものではない。

(二)  同(二)の事実は認める。但し、公知意匠の特徴はそのような点に存在するものではない。

(三)  同(三)の事実は、先願意匠を本件意匠の要部認定の際考慮する必要がないとの点を除き他は認める。但し、先願意匠の特徴は原告主張のような点に存在するものではない。

(四)  同(四)のうち、本件意匠と公知意匠及び先願意匠との間に共通点のあることは認めるが、その余は争う。

3  同3の事実は認める。但し、イ号品は色彩を有するものであり、イ号意匠は形状、模様及び色彩の三要素からなる意匠であるのに、別紙イ号品目録には色彩の記載がないから、同目録の記載によつてはイ号品は特定されていない。

4  同4については、イ号意匠が原告主張の構成を有することは認めるが、イ号意匠は右各構成にのみ意匠としての特徴を有するものではない。

5(一)  同5(一)の事実は認める。

(二)  同(二)のうち、本件意匠とイ号意匠との間に差異のあることは認めるが、その余は争う。

(三)  同(三)は争う。

三  被告らの主張

1  本件意匠の構成は、次のとおり説明されるべきである。

次の形状及び模様から成るドライバー

a 先端に刃先8を有するシャンク(柄部材)7の手元側にグリップ1を装着しており、グリップ1は、略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、シャンク7を被覆するテーパチューブ状の脚部6とを一連に形成している。

b 右の各部の比について、シャンク7の直径一に対し、

頭部3の球状直径が六・六の比率であり、

首部4の直径が三・六の比率であり、

胴部5の直径が、上部最大径部で四・五、下部最小径部で二・六の比率であり、

脚部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・三の比率である。

c 前記グリップ1の頭部3にはバンド2が鉢巻状に装着され、該バンド2の表面が頭部3の表面と面一に連続し、全体として連続面から成る略球形状を形成している。

d 右のバンド2は、両側縁を残して周方向に現れる帯状の梨地模様2bを有し、更に、周方向に等間隔をおいて六個の膨隆部2aを突出しており、各膨隆部2aは、軸方向に長い細楕円形の水滴状に現れるとともに、表面を無模様として前記梨地模様2bに対する白抜き模様を構成している。

e 前記グリップ1の胴部5は、テーパ状斜面の中間に位置して、二条の溝5aを形成している。

2  本件意匠の要部

(一) 本件意匠の出願前に公知の意匠としては、請求原因2(二)記載の電工用ドライバーのほか、乙第六号証三枚目に示されるNo.二〇〇電工用ドライバー小柄タイプ等が存在する。

また、本件意匠の出願よりも先願にかかる意匠として、請求原因2(三)記載のもののほか、登録第六三五四六七号意匠公報(乙第一号証)、登録第五九一〇五九号意匠公報(乙第二号証)、登録第六〇一七二一号意匠公報(乙第三号証)、登録第五九一〇五七号意匠公報(乙第四号証)、登録第五九一〇五八号意匠公報(乙第五号証)各記載のものが存在する。

したがつて、本件意匠の構成のうち公知意匠、先願意匠に見られない特有部分のみが要部となりうるものである。

(二) そこで、前記1記載の本件意匠の構成aないしeを検討する。

(1) 本件意匠の構成aは、前記公知意匠、先願意匠と共通の構成であり、この点に本件意匠の要部が存在するものとはいえない。

(2) 同bの点についてみると、シャンク7の直径と各部の直径との比率は前記先願意匠と格別に相違するものではなく、この点に本件意匠の要部が存在するとはいえない。

(3) 同eの点は、先願意匠(乙第一号証)にもグリップ1の胴部5が二条の溝5aを形成している点が示されており、本件意匠の要部とはいえない。

(4) 本件意匠の残余の構成c及びdは、公知意匠、先願意匠に見出すことはできない。

(5) したがつて、本件意匠の要部は、前記の本件意匠の構成c及びdを同時に備えた点にあると解すべきである。

(三) 原告は、本件意匠の要部は、①細長いテーパチューブ状の絶縁部6を設けた点と、②鉢巻状に装着されたバンド2の点にあると主張するが、次のとおり、右主張は失当である。

(1) 右①の点については、公知意匠及び先願意匠が胴部5の端部から軸7の一部を被覆する鍔部6を有していることは原告も認めるとおりであり、脚部の鍔部又は絶縁部を長短変更する程度のことは、単なる設計的変更又は商業的に普通に行われる変更であるばかりか、どの程度長ければ新規であり、それによりいかなる格別な美感を奏するのか極めて曖昧であるから、①の点は要部とはいえない。

(2) 右②の点については、本件意匠が頭部3にそれとは別体のバンド2を装着していることは、意匠公報の断面図を見て初めてわかることであるから、バンドが頭部と一体であるか又は別体であるかによつて意匠に何らの影響も与えるものではない。そして、公知意匠は、頭部の周方向に三条の溝を現し、頭部を全体として略球状体とするものであるから、本件意匠のバンド2付き頭部3と外観においてはほとんど相違しないし、先願意匠は、頭部の周方向による帯状ラインによるバンド模様を現しているものであり、それが一体の部材であると別体の部材であるとを問わず、鉢巻状の模様を有する点で本件意匠と相違しない。

したがつて、右②の点が本件意匠の要部であるとはいえない。

(3) さらに、本件意匠が右①②の点を要部とするものでないことは、後願意匠である原告が意匠権者である登録第六三七八一二号のドライバーの意匠を見れば明らかである。

即ち、本件意匠と後願意匠とを対比すると、後願意匠は、(イ)絶縁部の根元にリング状鍔部を有する点、(ロ)バンドの外周面に三条が一組の膨隆部が等間隔に六個形成されている点、(ハ)胴部の中間に梨地模様が施されている点の相違を除いては、本件意匠と共通している。特に、原告が主張する前記①②の点において、後願意匠は本件意匠と全く共通しているにもかかわらず、これが特許庁において本件意匠とは非類似であるとして独立に登録されたものである。

3  イ号意匠の構成は次のとおり説明されるべきである。

次の形状、模様及び色彩から成るドライバー

a 先端に刃先8を有するシャンク(柄部材)7の手元側にグリップ1を装着しており、グリップ1は、頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、シャンク7を被覆するテーパチューブ状の脚部6とを一連に形成している。

b 右の各部の比について、シャンク7の直径一に対し、

頭部3の最大直径(後記第一バンドの最大径部)が六・九の比率であり、

首部4の直径が三・四の比率であり、

胴部5の直径が、最大径部(後記第二バンドの最大径部)で四・〇、下部最小径部で二・〇の比率であり、

脚部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・四の比率である。

c 前記グリップ1の頭部3には、第一バンド2が鉢巻状に装着され、該バンド2は頭部3の表面と面一に連続することなく、段状に隆起している。

d 右の第一バンド2は、両側縁に細溝を介して縁取部2cを形成し、両縁取部2c、2cを、平面及び底面の二箇所にて、これに直交する直線状の連結部2dにより連結している。

また、第一バンド2上には、正面及び背面の二箇所にて真円形の皿状凹部2eが形成されている。

右の縁取部2c、連結部2d、凹部2eを除いて、バンド2の表面は、軸線に対し斜交する比較的粗い格子溝2fを形成し、これにより多数の菱形模様2gを現している。

e 前記グリップ1の胴部5は、膨らみ部分に第二バンド9を鉢巻状に装着しており、該バンド9は胴部5の表面と面一に連続することなく、段状に隆起している。

f 右の第二バンド9は、両側縁に細溝を介して縁取部9cを形成し、両縁取部9c、9cを、平面及び底面の二箇所にて、これに直交する直線状の連結部9dにより連結している。

右の縁取部9c及び連結部9dを除いて、バンド9の表面は、軸線に対し斜交する細かい格子溝9fを形成し、これにより小さな多数の菱形模様9gを現している。

g 右のグリップ1は黒色であり、これに装着された第一バンド2及び第二バンド9は、プラスドライバーについては赤色、マイナスドライバーについてはオレンジ色である。また、シャンク7はクローム金属色であり、刃先8は黒色である。

4  本件意匠とイ号意匠の対比

(一) 本件意匠の要部は、前記のとおり、その構成c及びdの点にあるが、これに対するイ号意匠の構成c及びdは、次のとおり顕著に相違している。

(1) 本件意匠の構成cとイ号意匠の構成cを比較すると、本件意匠は、バンド2を頭部3と面一に連続する面に構成し、これにより全体として略球状体に形成しており、したがつて、バンド2がグリップ1の一部として該グリップ1中に融合され、バンド2の独立した存在感を否定する外観を有している。これに対し、イ号意匠は、グリップ1の頭部に対して第一バンド2が段状に隆起し、グリップ1と独立した該バンド2自体の存在感を顕在化した外観を有し、本件意匠とは顕著に相違する。

(2) 本件意匠の構成dとイ号意匠の構成dを比較すると、明白に相違している。イ号意匠は、両側縁に細溝を介して形成した縁取部2c、2c及び連結部2dにより第一バンド2の輪郭を顕在化し、これにより(1)で述べた第一バンド2のグリップ頭部に対する別体感を強調している。しかも、イ号意匠は、第一バンド2上に形成した多数の菱形模様2gにより軸方向に斜交する格子溝2fを表し、該第一バンド2が帯状の形態であることを強調し、本件意匠のような略球状の美観とは対照的なものになつている。さらに、イ号意匠は、二個所に形成した真円形の皿状凹部2eを第二バンド2の表面より凹入し、これにより、本件意匠のような略球状の美観を打ち消しており、また、この真円形の凹部2eは、使い勝手の良い機能美を呈している。

(二) 本件意匠とイ号意匠とはその他の点でも相違している。

(1) イ号意匠は、その構成e及びfが独自の特徴になつており、右各点は、公知意匠及び先願意匠に全く見られず、本件意匠とも顕著に相違する特徴である。

特に、イ号意匠において、第一バンド2と第二バンド9とは、第一バンド2の皿状凹部2eの点を除いて、略相似形状に形成され、両バンド2、9がグリップ1大径部(頭部3)と小径部(胴部5)に一対のペアとして設けられていることは、全体的にデザインの統一性を保持し、両バンド2、9をそれぞれアクセントとして看者の注意を強く惹起する。

(2) イ号意匠は、シャンク7の直径一に対する各部の比率が本件意匠と相違する。

(3) イ号意匠は、構成g記載のとおりの色彩を有する点にも特徴がある。

けだし、黒色のグリップ1に対し、第一バンド2及び第二バンド9を赤色又はオレンジ色とすることにより、前記の両バンド2、9の突出感ないしグリップとの別体感を強調顕在化するとともに、両バンド2、9を目立たしめ、アクセントとしての役割を果し、しかも、両バンドを同色とすることにより前記(1)で述べた一対のペアとしてのバランス感を保持している。更に、刃先8をグリップ1と同じ黒色とすることにより、シャンク7からグリップ1に至る全体の重量感にバランスを持たせたものである。

(三) 以上のとおり、イ号意匠は、本件意匠とは構成を顕著に異にしており、全体として顕著な美感の相違をもたらすものであるから、本件意匠に類似しない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

二本件意匠の構成

本件意匠の構成が請求原因2(一)記載の態様を含んでいることは当事者間に争いがなく、右事実と成立に争いのない〈証拠〉によれば、本件意匠の構成は次のとおりであると認められる。

a  先端に刃先8を有する軸7の手元側にグリップ1を装着しており、グリップ1は、略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、軸7を被覆するテーパチューブ状の脚部(絶縁部)6とを一連に形成している。

b  右各部の比は、軸7の直径一に対し、

頭部3の球状直径が六・六の比で、

首部4の直径が三・六の比で、

胴部5の直径が、上部最大径部で四・五、下部最小径部で二・六の比で、

脚部(絶縁部)6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・三の比で、長さが四・七五の比である。

c  グリップ1の頭部3にはバンド2が鉢巻状に装着され、該バンド2の表面が頭部3の表面と面一に連続し、全体として連続面から成る略球状を形成している。軸7の直径一に対し、バンド2の幅は五・三の比である。

d  バンド2は、両側縁を残して周方向に現れる帯状の梨地模様2bを有し、更に、周方向に等間隔をおいて六個の膨隆部2aを突出しており、各膨隆部2aは、軸方向に長い細楕円形の水滴状に現れるとともに、表面を無模様として前記梨地模様2bに対する白抜き模様を構成している。

e  前記グリップ1の胴部5は、テーパ状斜面の中間に位置して、二条の溝5aを形成している。

三本件意匠の要部

(一)  本件意匠の出願前に公知の意匠として請求原因2(二)記載の電工用ドライバーの意匠があり、その意匠が別紙公知意匠図のとおりであること、その概括的態様及び具体的態様が請求原因2(二)の(1)、(2)記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。また、成立に争いのない乙第六号証及び弁論の全趣旨によれば、公知意匠としては、右のほかに被告株式会社ベツセル発行のカタログ(乙第六号証)三枚目に登載されたNo.二〇〇電工用ドライバーが存在すること、右電工用ドライバーの意匠も別紙公知意匠図記載のものとほぼ同じであり、右両者の間にとりたてて差異はないことが認められる。

(二)  右事実によれば、本件意匠の前記構成のうち、グリップ1に略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5が存在する形状のドライバーは、本件意匠の出願前に公知であつたことが認められる。また、右公知意匠と本件意匠とで軸7の直径一に対する各部の比率を比較すると、本件意匠では脚部(絶縁部)6の長さが四・七五であるのに対し、公知意匠では右脚部に相当する鍔部の長さが二・二と異なるほかは、顕著な差異はないことが認められる。本件意匠と別紙公知意匠図記載の公知意匠とを比較すると、本件意匠では脚部(絶縁部)6が細長いテーパチューブ状であるのに対し、公知意匠では短い円筒状の鍔部となつている点に差異があるが、前掲乙第六号証及び弁論の全趣旨によれば、グリップが円筒状のドライバーでは、軸とグリップの間に細長いテーパ状の脚部を設けた形状が本件意匠の出願前に公知であつたことが認められ(乙第六号証三枚目に示されるNo.三五〇、No.六二〇、No.三一〇の各ドライバー参照)、脚部を細長いテーパチューブ状にすることはありふれたものであるといえる。また、本件意匠のうち、グリップ1の胴部5に二条の溝5aを形成している点も公知意匠にはみられないけれども、公知意匠も前記のとおりグリップの頭部には三条の溝を凹設してあるものであり、右のようにグリップの一部に溝を形成して模様を現すことはありふれたものであるといえる。

右事実を考慮すると、本件意匠においては、グリップ1の頭部3にバンド2が鉢巻状に装着され、該バンド2の表面が頭部3の表面と面一に連続し、全体として連続面から成る略球状を形成し、しかも、右バンド2は、両側縁を残して周方向に現れる帯状の梨地模様2bを有し、更に、周方向に等間隔をおいて六個の膨隆部2aを突出しており、各膨隆部2aは、軸方向に長い細楕円形の水滴状に現れるとともに、表面を無模様として前記梨地模様2bに対する白抜き模様を構成している点(前記本件意匠の構成c、d)が見る者の注意を惹く最も特徴点な部分であり、右のような具体的な模様を現したバンド2の存在が従前の意匠にみられない斬新な美感を生じさせており、その点に意匠としての創作性があるものと認められる。

(三)  原告は、本件意匠の要部は、絶縁部6の形状が細長いテーパチューブ状である点と略球状の頭部3にバンド2を鉢巻状に装着した点にあると主張する。しかし、脚部(絶縁部)6の形状が細長いテーパチューブ状である点が本件意匠の要部とはいえないことは先にみたとおりである。また、略球状の頭部3にバンド2を装着した点については、右バンドがグリップの頭部とは別異の部材であるということは本件意匠公報の断面図を見て初めてわかることであり、前記のとおり右バンドは表面が頭部と面一に連続しているものであるから、バンドが頭部と別体であるということ自体は、視覚のうえでそれほど顕著な効果を奏しているものとはいえず、右バンドに形成された具体的な模様から生じる印象を離れて、頭部3にバンド2を装着してある点を本件意匠の要部であると解するのは相当ではない。

原告の右主張は採用できない。

四請求原因3の事実(被告らがイ号品を製造、販売していること)は、当事者間に争いがない(但し、別紙イ号品目録に色彩の記載がない点は暫くおく)。

五イ号意匠の構成

イ号意匠の構成が請求原因4記載の態様を含んでいることは当事者間に争いがなく、右事実と成立に争いのない〈証拠〉、イ号品であることにつき争いのない〈証拠〉を総合すれば、イ号意匠の構成は次のとおりであると認められる。

a  先端に刃先8を有する軸7の手元側にグリップ1を装着しており、グリップ1は、略球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、軸7を被覆するテーパチューブ状の脚部(絶縁部)6とを一連に形成している。

b  右の各部の比は、軸7の直径一に対し、

頭部3の最大直径(後記第一バンドの最大径部)が六・九の比で、首部4の直径が三・四の比で、

胴部5の直径が、最大径部(後記第二バンドの最大径部)で四・〇、下部最小径部で二・〇の比で、

脚部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・四の比である。

c  グリップ1の頭部3には、第一バンド2が鉢巻状に装着され、該バンド2は頭部3の表面と面一に連続することなく、段状に隆起している。軸7の直径一に対し、第一バンド2の幅が三・七、隆起の高さが〇・三の比である。

d  第一バンド2は、両側縁に細溝を介して縁取部2cを形成し、両縁取部2c、2cを、平面及び底面の二箇所にて、これに直交する直線状の連結部2dにより連結している。

また、第一バンド2上には、正面及び背面の二箇所にて真円形の皿状凹部2eが形成されている。

右の縁取部2c、連結部2d、凹部2eを除いて、バンド2の表面は、軸線に対し斜交する比較的粗い格子溝2fを形成し、これにより多数の菱形模様2gを現している。

e  グリップ1の胴部5は、膨らみ部分に第二バンド9を鉢巻状に装着しており、該バンド9は胴部5の表面と面一に連続することなく、段状に隆起している。

f  第二バンド9は、両側縁に細溝を介して縁取部9cを形成し、両縁取部9c、9cを、平面及び底面の二箇所にて、これに直交する直線状の連結部9dにより連結している。

右の縁取部9c及び連結部9dを除いて、バンド9の表面は、軸線に対し斜交する細かい格子溝9fを形成し、これにより小さな多数の菱形模様9gを現している。

六本件意匠とイ号意匠の対比

1  本件意匠とイ号意匠を対比すると、グリップが略球状の頭部とくびれ状に小径となる首部とテーパ筒状となる胴部と軸を被覆するテーパチューブ状の脚部(絶縁部)とを一連に形成していること、頭部に鉢巻状にバンドが装着されていることは共通しているが、少なくとも次の点で相違している。

(一)  グリップの頭部に鉢巻状に装着されているバンドが、本件意匠においては、バンドの表面が頭部の表面と面一に連続しているのに対し、イ号意匠では、頭部の表面と面一に連続することなく、段状に隆起している。しかも、右バンドに形成された模様をみると、本件意匠は、バンドの両側縁を残して周方向に現れる帯状の梨地模様を有し、周方向に等間隔をおいて六個の膨隆部を突出しており、右膨隆部は軸方向に長い細楕円形の水滴状に現れるとともに、表面を無模様にして前記梨地模様に対する白抜き模様を形成しているのに対し、イ号意匠では、右バンドの両側縁に細溝を介して縁取部を形成し、両縁取部を平面及び底面の二箇所にて、これに直交する直線状の連結部により連結し、バンドの正面及び背面の二箇所にて真円形の皿状凹部が形成されており、バンドの表面が右縁取部、連結部、凹部を除いて軸線に対し斜交する比較的粗い格子溝を形成し、これにより多数の菱形模様を現している点において相違する。

(二)  本件意匠においては、グリップの胴部に二条の溝が形成されているのに対し、イ号意匠では、胴部に表面と面一に連続することなく段状に隆起した第二バンドを鉢巻状に装着し、右第二バンドが皿状凹部のないことを除いて、頭部に装着した第一バンドと同様の模様を現している点で相違している。

2  本件意匠の要部は、前記のとおり、グリップの頭部に装着したバンドに形成された独特の模様の点にあるところ、イ号意匠は、右に述べたとおり、頭部に鉢巻状に装着された第一バンドの模様が本件意匠のそれとは明白に異なつており、右模様から生ずる印象は本件意匠の場合と著しく異なつている。しかも、イ号意匠においては、胴部にも第二バンドが装着され、第一バンドとほぼ類似した模様を形成したことにより、第一バンドと第二バンドとがまとまつた構成として一種の機能美を呈しており、この点でも本件意匠とは異なつた印象を与えるものとなつている。

右のとおり、本件意匠とイ号意匠とは顕著な差異があり、全体として生ずる美感を異にし、看者に別異の印象を与えるものといわなければならない。

3  したがつて、イ号意匠が本件意匠に類似するものと認めることはできない。

七よつて、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官露木靖郎 裁判官小松一雄 裁判官髙原正良)

別紙イ号品目録

一、商品名「ベッセル電工用クッションドライバー2号×一〇〇」(「イ号意匠図(一)のもの」)、「同2号×一五〇」(同)、「同2号×二〇〇」(同)、「同7号×一〇〇」(「イ号意匠図(二)のもの」)、「同7号×一五〇」(同)、「同7号×二〇〇」(同)

二、概括的態様

a 先端に刃先8を有する軸7と

b 軸7の手元側(図、において右側)にグリップ1を装着し

c ほぼ球状の頭部3と、くびれ状に小径となる首部4と、テーパ筒状となる胴部5と、軸7を被覆するテーパチューブ状の絶縁部6とからなるグリップ1と

d 頭部3に、表面と面一に連続することなく段状に隆起して鉢巻状に装着されている第一バンド2と

e 胴部5に、表面と面一に連続することなく段状に隆起して鉢巻状に装着されている第二バンド9

とからなる形状を有するドライバー(別紙「イ号意匠図(一)(二)」のとおり)

三、具体的態様

a 軸7の直径一に対し

第一バンド2の幅が三・七、隆起の高さが〇・三の比で

頭部3の最大径部の直径(後述する第一バンドの最大径部)が六・九の比で

首部4の直径が三・四の比で

胴部5の直径が、最大径部(後述する第二バンドの最大径部)で四・〇、下部最小径部で二・〇の比であり

絶縁部6の直径が、上部最大径部で一・六、下部最小径部で一・四の比であり

b 第一バンド2の表面には、両側縁に細溝を介して縁取部2cを形成し、両縁取部2c、2cの二箇所にて直交する直線状の連結部2d、2dと、二箇所にて真円形の皿状凹部2e、2eが形成され、縁取部2c、連結部2d、凹部2eを除く部分に斜交する比較的粗い格子溝2fが形成され、これにより多数の菱形模様2gが形成され

c 第二バンド9の表面には、第一バンド2の表面の模様と類似する縁取部9c、9cと連結部9d、9dと第一バンドより細かい格子溝9fと小さな多数の菱形模様2gが形成され

d 刃先の断面形状がプラス記号状(マイナス記号状)

とからなるもの。

別紙イ号意匠図(一)(二)

一、図面の説明

背面図は正面図と対称に、底面図は平面図と同一にあらわれる。

1……グリップ

2……第一バンド

2c……縁取部

2d……連結部

2e……皿状凹部

2f……格子溝

2g……菱形模様

3……頭部

4……首部

5……胴部

6……絶縁部

7……軸

8……刃先

9……第二バンド

9c……縁取部

9d……連結部

9f……格子溝

9g……菱形模様

別紙本件意匠図

一、図面の説明

背面図は正面図と対称にあらわれる。底面図は平面図と同一にあらわれる。

1……グリップ

2……バンド

2a……膨隆部

2b……梨地模様

3……頭部

4……首部

5……胴部

5a……溝

6……絶縁部

7……軸

8……刃先

別紙公知意匠図

一、図面の説明

背面図は正面図と対称に、底面図は平面図と同一にあらわれる。

1……グリップ

2……溝

3……頭部

4……首部

5……胴部

6……鍔部

7……軸

8……刃先

別 紙

イ 号 意 匠 (一)

イ 号 意 匠 (二)

別 紙

公 知 意 匠 図

先 願 意 匠 図

本 件 意 匠 図

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